店長のブログ :
ごもっとも2020-10-09 by 松岡
海外TVドラマの中で、独身の理由を問われた女性
「私にふさわしい男が現れないだけ。ふさわしくない男達とはソーシャルディスタンスをとっているから・・・。」
それを見ていたパートナー
「ごもっとも。ソーシャルディスタンスは小学生でも知ってる。」
新型コロナ禍でのパートナー選び、選択権も新型!?
興味深いエッセーを紹介します。
ゴリラは「父親」がいるが、チンパンジーはいない・・・人間はどのようなサルなのか?
1956年申(サル)年生まれの動物行動学研究家・竹内久美子
ゴリラ、チンパンジー、人間という3者を比べてみると、その社会も婚姻形態も驚くほど違う。しかも人間にしかない特殊な形態も浮き彫りになってくる。
ゴリラは1頭のオスが数頭のメスとその子供たちを従え、ハレムをつくっている。ハレムのメンバーは常に行動を共にし、他のオスがつけいる余地はない。
時々、若いオスがその主に戦いを挑むが、たいていは追い払われてしまう。ゴリラのオスがあのように体を発達させたのは、力によってハレムを防衛するという局面があるからである。
そんなわけでオスにとって、生まれてきた子は間違いなくわが子である。熱心に世話もするし、遊び相手にもなる。ゴリラには父親という存在があるのだ。
昨年、名古屋の東山動物園のゴリラ、シャバーニがイケメンゴリラとして脚光を浴びたが、彼の表情が豊かであり、威厳や優しさ、おちゃめな行動が垣間見られるのは、まさにその点による。
実のところ彼は、ひどい暴れん坊だったが、子が生まれたことを機に現在のようなイケメンになったとのこと。
一方、チンパンジーは複数のオスと複数のメス。その子供たちからなる、数十~100頭くらいの集団で暮らしている。メスは成熟すると集団から出て他の集団に入るので父系制というわけだが、集団内は乱婚的である。メスが発情するとオスたちが交尾の順番待ちをするほどだ。メスが同じオスと1日に複数回交尾することも珍しくはない。
よって生まれた子の父親が誰かはわからない。チンパンジーには「父親」という存在はないのである。そうするとイケメンゴリラはいても、イケメンチンパンジーは現れないだろうといってもいい。チンパンジーのオスには父親たる威厳も優しさも、おちゃめな点も必要ないからだ。
人間はどうだろう。夫婦の関係はある。この点においてチンパンジーと違うが、ゴリラのように常に行動を共にしているかというと、そうではない。人間は夫婦の関係がありながら結構頻繁に別行動をとる。別行動の間に何をするのか?何をしたら問題になるか?浮気だ。
浮気というと、ひどく下世話なこと、そんなことが学問の対象になるのかと思われるかもしれないが、哺乳類では人間だけにしかあり得ない貴重な現象だ。(ただし、鳥類では、巣材探し、エサ取りなどの際に夫婦は別行動をとり、しばしば浮気をする。そのため鳥の浮気の研究は大変盛んである。)
ともかくそんなわけで浮気が人間を人間たらしめた、浮気を通じて知能が高まり、言語も必要になってきたのではないかと私は考え、今もそうだと思っている。
浮気をしたら、それを隠しとおすための能力、そして言い訳や話の辻褄(つじつま)あわすなど、とにかく理屈にほころびを見せないことが大切である。片や浮気を見破る側には、相手の話の矛盾をつき、問い詰める能力などが必要だ。とにかく知能と言語能力のぶつかりあいになり、これらの能力が高まったはずなのだ。
人間には浮気があるという点で、ゴリラのような揺るぎない父性を持つことはできない。残念ながらシャバーニのようなかっこよさの域に達することは、人間の男には難しいのである。
私が霊長類に惹かれるのは、ひとつには申(サル)年生まれであることが関係しているだろう。還暦がもし人生のリセットを意味するのなら、それは人生の新たな出発点であると捉えようと思っている。
(動物行動学研究家、エッセイスト・竹内久美子 たけうち くみこ)
還暦は60年の体験と知識を持って新たな60年を生きるターニングポイント!?
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